現在の日本では、不妊症と診断される夫婦が急増しています。その数は、世界平均の2倍に近いと言われています。
なぜ先進国でありながら、日本には不妊に悩む夫婦がこれほど多いのでしょうか?
そもそも、不妊症となる原因は、どこにあるのでしょうか?
改善する方法は、ないのでしょうか?ここでは、そういった疑問にお答えします。
「不妊症になったらどうしよう…」
「希望するタイミングで妊娠出産をしたい」
このような気持ちを抱いている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
これほど多い!不妊症に悩む日本の夫婦
具体的に現在の日本では、どのくらいの夫婦が不妊症に悩んでいるのでしょうか?
まずは、「出生動向基本調査」の結果からご覧ください。
「出生動向基本調査」は、厚生労働省に属する研究所が5年ごとに実施している全国調査です。
不妊の検査や治療を受けた夫婦の数は
- 第12回調査(2000年)=12.7%(約8組に1組が不妊症)
- 第13回調査(2005年)=13.4%(約7組に1組が不妊症)
- 第14回調査(2010年)=16.4%(約6組に1組が不妊症)
このように報告されています。回を追うごとに、不妊症の夫婦が増えていることがわかりますね。そして直近の第15回調査では、どのような結果が出たのでしょうか?
- 第15回調査(2015年)=18.2%(約5組に1組が不妊症)
なんと、20%に近い数字になっているのです。この数字は、今後ますます高くなっていくことが予想されています。
ちなみに同調査では、不妊症を心配したことのある夫婦の割合も報告されています。その数字は、35.0%でした。3組に1組の夫婦が、不妊症に不安を抱いているのです。
不妊症で特に多い5つの原因
これほどまでに増えている不妊症の夫婦。その原因は数多くありますが、特に多いのは以下の5つです。
- 生活習慣の乱れ
- 美容へのこだわり
- 晩婚化
- 女性の社会進出
- 経済的な不安
それぞれの内容を、細かくご説明しますね。
生活習慣の乱れ
現在の日本人の生活習慣は、一昔前と比べると、かなり乱れています。
- 深夜のネットサーフィン、DVD鑑賞
- 高カロリーなスイーツやインスタント食品
身に覚えはありませんか?これらは、体を少しずつ蝕んでいきます。睡眠不足に運動不足、さらに栄養バランスも悪いのですから、当然ですよね。
具体的には、血液の質が低下し、血行が悪くなり、体の随所の機能が低下していきます。その結果、卵巣の機能が低下することが、不妊症の大きな原因とされているのです。
不妊症の女性の多くは、毎日の生活の中で自分の体をいじめ続けることで、その結果を招いたと言っても過言ではないのです…。
美容へのこだわり
美しく見せたいという気持ちは、女性なら当たり前。でも度合いが過ぎると、やはり体を痛めつけることになります。
たとえば、過度なダイエットです。栄養不足により、体の機能は確実に衰えます。特に葉酸不足は、女性の体に大きなダメージを与えますよ。
また、ファッションも妊娠の弊害となることがあります。生地の薄い衣服や、体を締め付ける衣服。こういった、機能性よりもファッション性を重視した衣服は、体での血の巡りを悪くします。
晩婚化
現在の日本女性の平均初婚年齢は、29歳です。30歳を過ぎてから結婚する女性も、今では珍しくありません。
そして結婚する時期が遅いほど、妊娠を計画する時期も必然的に遅くなります。これが、不妊症の女性を増やしているのです。
年齢が高くなればなるほど、女性は妊娠しにくくなります。結婚が遅かったために、妊娠のタイムリミットを過ぎてしまった…。このような女性が、近年では急増しています。
女性の社会進出
外に働きに出る女性は、どんどん増えてきています。働くということは、それだけ心身の負担が増えるということ。仕事に家事に…、家庭によっては介護もあり、女性がゆっくりとくつろぐことのできる時間は、かなり減少しています。
この心身の疲労が、不妊症を招いているという説もあります。卵巣の機能は、肉体はもちろん、メンタルの状態にも左右されるからです。
経済的な不安
女性の社会進出の裏にあるのは、経済不安です。不景気、物価の高騰などから、現在では多くの家庭で、夫だけでなく妻も家計の担い手となっています。
妊娠出産や子育てには、当然費用がかかります。家計にある程度の余裕がなければ、厳しい道となります。しかも出産前後には、女性は働きに出ることができません。その間は、夫の一馬力となるので、家計はますます苦しくなりがちです。
この不安から、心から赤ちゃんを望むことができなくなる夫婦は増加しています。そしてそのストレスが、不妊症の遠因となっているのです。
不妊症を改善するには?
このように、不妊症の主な原因は5つあります。そのため不妊症となることを防ぐためには、この5つを解消することが肝心となります。
とはいえ、
- 晩婚化
- 女性の社会進出
- 経済的な不安
これらについては、個々の努力で解消できるものではありません。日本の経済状況、家庭の事情などが絡んでくるからです。
しかし、
- 生活習慣の乱れ
- 美容へのこだわり
この2つについては、個々で十分に対策できます。具体的には、こういった対策が効果的とされています。
- 早寝早起きを心がける
- 適度に体を動かす
- 栄養バランスを考えた食事をとる
- 体に負担となるダイエットやファッションは控える
要は、体を大事にして健康維持に努めるということです。これにより卵巣の機能やホルモンバランスが保たれ、不妊症のリスクが低下することになります。
健康状態が良ければ、ある程度年齢を重ねてからでも、働きながらでも、スムーズに妊娠することが可能ですよ。
葉酸の摂取で不妊症を改善
先ほどもお話ししましたが、妊娠を望む女性にとって葉酸は、特に摂取が必要な栄養素です。なぜなら葉酸は、女性の体内で以下のような働きをするからです。
- 卵巣の機能を保つ
- 卵子の成熟を促す
- 卵子の衰えを防ぐ
- 卵管の詰まりを防ぐ
- 受精卵の着床を助ける
このように葉酸は、卵巣と卵子と卵管と受精卵の全てを守ってくれるのです。これらのうち、どれかひとつでも正常ではない状態になった場合には、妊娠が難しくなります。
それを考えると、葉酸が女性にとってどれほど重要な栄養素なのかわかりますね。そのため不妊治療を行っているクリニックの中には、葉酸の摂取を勧めるところが少なくありません。
また、妊娠しやすい体作りを目的とした葉酸サプリも、市販されるようになっています。不妊症を改善するためには、ぜひ葉酸をしっかりと摂取してくださいね。
不妊症の原因のまとめ
現在の日本では、夫婦5組のうち1組が、不妊症の検査や治療を受けています。これほど不妊症に悩む女性が増えている原因は、大きく分けて5つあります。
- 生活習慣の乱れ
(睡眠時間と運動量と栄養の不足) - 美容へのこだわり
(無理なダイエットやファッション) - 晩婚化
(年齢を重ねてからの妊娠計画) - 女性の社会進出
(仕事と家事の両立で心身の負担が増加) - 経済的な不安
(子供を望む気持ちになりにくい)
このうち、最初の2つについては個々の努力で解消することが可能です。生活習慣を見直し、美容のために過度に体を痛めるようなことをしなければ、不妊症のリスクは低下します。
また、葉酸を摂取することも効果的です。葉酸には、卵巣や卵子、卵管や受精卵を守る力があります。積極的に葉酸を摂取して、妊娠しやすい体作りをしましょう。