葉酸の摂取は、妊娠中のお母さんにとってはとても大事なことです。なぜなら葉酸は、細胞が分裂で数を増やす時に必要となる栄養分だからです。
お腹の赤ちゃんは、細胞分裂を繰り返すことで成長していきます。赤ちゃんに成長には、葉酸は必要不可欠な栄養分なのです。
そのためお母さんの体の葉酸は、赤ちゃんに優先的に使われます。でも使われることで、お母さんが葉酸不足になってしまうことがあります。
葉酸不足になると、お母さんの体はどのような影響を受けるのでしょうか?また、不足を防ぐためには、どのような工夫をすれば良いのでしょうか?
ここでは、特に重要なポイントをご紹介しますね。
赤ちゃんを健やかに成長させてくれる葉酸
細胞分裂は、細胞が自分をコピーして、同じ細胞を作ることで進んでいきます。葉酸は、そのコピーを助ける栄養分です。コピーに失敗すると、おかしな細胞ができてしまいます。そしておかしな細胞は、正しく機能しないことがあります。
これが、赤ちゃんの先天障害や発達障害の原因となるのです。でも葉酸をしっかりと摂取していれば、コピーが正しく行われて、元気な細胞がどんどん生み出されます。
それが増えることで、お腹の赤ちゃんは健やかに育っていきます。赤ちゃんを五体満足で生んであげるためには、お母さんとしてはぜひ葉酸を十分に摂取したいですね。
葉酸不足になると、こんな症状が…!
葉酸の摂取量が足りないと、まずはお母さんの体に問題が起こり始めます。摂取した葉酸の多くが赤ちゃんの成長に使われるので、どうしてもお母さんの体が後回しになってしまうのですね。
葉酸が不足すると、お母さんの体では、
- フラフラする
- 立ち眩みがする
- 息切れしやすくなる
- 疲れが抜けにくくなる
- 食欲がなくなる
- イライラしやすくなる
こういった症状が出てきます。心身共に、不安定になってしまうわけです。
葉酸不足で、どうしてこんな症状が出るの?
葉酸は、お母さんの体でも細胞の成長に使われます。特に、血液細胞中のヘモグロビンを作るために、力を発揮しています。
そのため葉酸不足になると、ヘモグロビンも不足しがちになります。ヘモグロビンは、呼吸で入ってきた酸素を全身に運びます。
つまり、ヘモグロビン不足=酸素不足、ということです。いわゆる酸欠状態になるので、そのためふらつきや立ち眩みが起こりやすくなるわけですね。
酸欠で体がパワー不足になるので、必然的に疲れがたまりやすくなりますし、食欲も低下します。そういった不調が、心にも悪影響を与えてしまうのです。
このように、お母さんの体でたくさんの問題を引き起こす葉酸不足。しかも極端な不足が続くと、葉酸欠乏症となってしまうこともあります。
葉酸欠乏症になると、赤ちゃんの体でも問題が起こるようになります。最初にご説明したように、元気な細胞が作られにくくなってしまうんです。葉酸不足は、お母さんにも赤ちゃんにもとても怖いものと言えますね。
食事やサプリメントで葉酸不足を防止
葉酸不足を防ぐためには、妊娠前から妊娠3ヶ月までの間に、毎日400μgの葉酸を摂取することが大事です。ただしこの数字は、毎日の食事で約240μgの葉酸を摂取していると想定した上で、設定されたものです。
つまり食事での240μgに加え、サプリメントなどを使って、追加で400μgを摂取しましょうということです。
そのため、食事で葉酸をしっかりと摂取できていない人は注意が必要ですよ。食事での摂取量が少ない分、追加での摂取量を多めにしてくださいね。
逆に、食事で葉酸を十分に摂取している人。たとえば、葉酸が多く含まれている葉野菜やレバー肉などを毎日積極的に食べている人。こういった人は、追加での摂取量は少なめでも大丈夫です。
要は、バランスです。食事での摂取量が少ない場合は、サプリメントを多めに。食事での摂取量が十分という場合は、サプリメントを少なめに。トータルの量が少なくならないよう、バランスを考えて摂取してくださいね。
お酒や薬も葉酸不足の原因に?
葉酸不足の原因は、食事やサプリメントでの摂取量が少ないことだけではありません。十分に摂取していても、葉酸不足となってしまうこともあるんです…。
たとえば飲酒です。口から摂取した葉酸は、小腸で体に吸収されます。ところがお酒をたくさん飲んでいると、アルコール分によって、葉酸の吸収が妨げられてしまいます。
吸収されなかった葉酸は、当然お母さんの体にも赤ちゃんの体にも使われません。そのため、摂取しているにもかかわらず、葉酸不足になってしまうわけですね。
そして、特定の薬も葉酸の働きを抑えることがあります。たとえば、関節リウマチの治療薬のメトトレキサートです。関節リウマチは、関節内の一部の組織が異常に増殖する病気です。治療では、それを防ぐことになります。
そして増殖を防ぐには、葉酸の力を抑えなければなりません。葉酸は、細胞が増えることを助ける栄養分だからです。
そのため、メトトレキサートを使った治療を受けている人は、葉酸不足になりがちです。医師に相談して、体に適した処置をしてもらってくださいね。
また、抗てんかん薬のフェニトレインとフェノバルビタールにも、葉酸の働きを弱める可能性があります。これらを長く服用していた人も、医師への相談が必要です。
葉酸不足についてのまとめ
妊娠中のお母さんの体では、赤ちゃんの成長のために葉酸が特に多く使われます。そのため、どうしても葉酸不足になりがちです。
葉酸不足になると、心身に不調を来たしやすくなります。ふらつきや疲労感、イライラなどを感じやすくなるのです。
赤ちゃんの発達上の問題を引き起こすこともありますよ。葉酸不足を防ぐためには、まずは食事で240μgほど摂取し、サプリメントで400μgほど補うことが大事です。
トータルの量が少なめにならないよう、バランスを考えながら摂取してくださいね。また、お酒を飲みすぎると、葉酸がうまく吸収されなくなります。
そのため妊娠中のお母さんは、飲みすぎにも気をつけてください。薬が葉酸の働きを抑える可能性もあるので、関節リウマチやてんかんの治療薬を飲んでいる人は、医師に相談しましょう。
自分自身のためにも、赤ちゃんのためにも、ぜひ葉酸の適切な摂取を心がけてくださいね。